ノートの取り方

ノートは何のために取るのでしょうか?

ヘリオット ワットの特徴の一つとして黒いハードカバーに包まれた厚いテキストがあります。科目にもよりますがテストの形式はこのテキストから選択問題が25問位、ケーススタディもしくはショートエッセイが3問位でます。過去の問題は提供されていますのでおよその傾向は把握できますが、それでも、例えば、15章あったらその15章まるまるから出題されると考えられます。

大学生だった頃は毎年同じ問題もしくは2,3年おき位に同じ問題がでる科目があり、テスト前にはヤマをはって1,2日の詰め込みでなんとかした記憶もありますが、この範囲では単純に部分を勉強して、テストを受ければ間違いなく落ちてしまいます。

となるとテキストを読む→覚える→理解するというステップが必要になるわけですが、これを半年間という期間の中で効率よく進めるためにはうまくまとめるというステップがケーススタディなどに取りかかる前に必要となります。
その効率を高めるために、覚える→理解するというノートの取り方について何回かに分けて書いてみます。

まず一般的なノートの取り方とその問題点について考えてみます。その後経験上これがやりやすかったというお勧めの方法について書いていきます。

さて一般的なノートの取り方として要約する方法があります。

Accountingを例にとって見ます。Accountingは15章に分かれていますが、見開き2ページに1章分のスペースをとって上げます。さらにその中でサブセクションで分けながら、大事な部分を要約してノートをとる方法です。
便宜上、ここでは要約法(そのまんまですが)と名づけます。

Accounting Module2 The Profit and Loss Accountを例にすると以下のようになります。

2.1 Introduction
Purpose of this chapter....
2.2 What is profit
Profit is difference between sales and cost.
2.3 The measurement of Accomplishment
Time of Sales Orders
Time of Production
Time of Collection.

さてこのノートの取り方は、2つの側面から説明できます。
・構造の再利用
ノートを取る際の構造(順番とも言いかえられますが)は、教科書にあるものを利用します。よって出来上がったノートを見てみると、ほぼ章の始まりに載っているContentsに似ています。
・要約
教科書が分厚くなる理由としては以下があります。
= 細かい説明
= グラフやテーブル
= 見やすくするためのインデックスや行間
要約はそのある範囲(Module -> Chapter -> Section -> Subsection)の中でもっとも重要と思われる部分のみを抜き出して記述します。

要約法は細かく分けると以下のようなステップでノートを作っていきます。

1)全体構造およびサブセクションの把握
全体としてどのような構造でノートを取るか決めます。ここでは細かくイメージする必要はありませんが、例えばテキストの全体Contentsなどを利用して、15章に分けるといったことを決めます。

2)サブセクションに割り当てるノートスペースの決定
サブセクションにどの程度ノートスペースを割り振るか決めます。決めないでひたすら書いていくと、これは要約にはなりません。
スペースを決めない要約と似ているのが、マーカーでのライン引きです。教科書の重要な箇所にラインを引いていたら、あるとき見返してみるとラインを引いていないところのほうが少ない、こんな経験ありませんか?

3)サブセクション毎に構造を決定
サブセクション内でどのように要約していくか決めます。スペースが決まっているために以下に余計な構造を省くか、どの範囲で要約を進めるかを決めます。

4)範囲が決まった部分について理解
実は要約はいうほど簡単ではありません。なぜかというと要約の前にはその範囲には何が書かれているのか、もっとも重要な主張は何かを把握しなければならないからです。

5)要約
書かれていることが理解できて、筆者がもっとも主張したいことがどこに記述されているかはっきりしたら要約です。要約はある1文をコピーすればすむこともあれば、パラグラフを自分の言葉で短くしたり、あるいは1ページぐらいのスペースを自分で構造化する必要があります。

さて要約法はリファレンスとするのには便利です。リファレンスとは勉強の最中にちょっと思い出せないものをノーと見ることによって再確認する際に利用されます。リファレンスにに似ているものとしては国語辞書や、家庭の医学があります。

しかし全体の構造ととらえて記憶するという目的にとってはどうでしょうか。

要約法は参照や、後で見直すときには使いやすいのですが、
・全体の構造を捉える
・覚える
という目的にはあまり向いていない気がします。

その理由として2つあります。
1)同じレベルでの関係がつかみにくいこと
2)下のレベルへの関係がつかみにくいこと

Accounting を例にとってみて1)について説明してみます。
Accountingは以下のようなサブセクションから成り立ちます。
Module 2: The Profit and Loss Account
Module 3: The Balance Sheet
Module 4: the Cash Flow Statement
Module 5: The Frame Work for Finatial Reporting
Module 6: Interpretation of Finantial Statements
Module 7: Emerging Issues and Managerial Options in Finantial Reporting.

さて上記でModule2から6のタイトルを抜き出してみましたが、このタイトルを覚えることはできますか?
5つのモジュールしかありませんので、単純に丸暗記できるかもしれません。しかしテキストは一教科あたり10〜15章に分かれており、もし二教科受けるとしたら、最大で30章あります。

しかし以下のように内容に沿ってグループ化したらどうなるでしょうか。
Finantial Reporting
Type
Module 2: The Profit and Loss Account
Module 3: The Balance Sheet
Module 4: the Cash Flow Statement
Interpretation
Module 5: The Frame Work for Finatial Reporting
Module 6: Interpretation of Finantial Statements
Reservatoin
Module 7: Emerging Issues and Managerial Options in Finantial Reporting.

グループ化により以下の3つにくくることができました。これにより例えばTypeという言葉を思い出せば、一つ一つのtypeではなく3つまとめて関連して思い出すことが可能になります。
Finantial Reporitng

  • > Type
  • > Interpretation
  • > Reservation

次に2)について説明してみます。
2.2 What is profit
Profit is difference between sales and cost.

さてノートの取り方2で記述した段階を経て、上記の部分を抜き出してきました。ではここで問題です。
Q) "2.2 What is profit"から"Profit is difference between sales and cost."を連想することができますか。

この質問に答えるには2つの方法があります。
一つ目の方法はは機械的に関連を覚えておくことです。"2.2 What is profit"とという質問が機械的に"Profit is difference between sales and cost."と答えます。丸暗記の要領です。

2つ目のその関連を覚えておくことです。
つまり"2.2 What is profit"という質問の答えは"Profit is ------"という答えになるのは、文法上間違いありません。しかしis以下につながるものとしては、"特徴", "定義", "方法"など様々あります。ここでは"Definition(定義)"という関連を覚えておきます。

これにより
"2.2 What is profit" -> "Definition" -> "Profit is difference between sales and cost."という答えを連想することが可能になります。

さてここまでをまとめると以下の様になります。

ノートのとり方として一般的な方法に「要約法」がある。参照する、ある特定の部分のみ取り出すといった目的には「要約法」でまとめらたノートは使いやすいのですが、全体を捉える、記憶するといった目的にはあまり向いていません。
しかしグループ化、関係を記録しておくことで、ある一つの項目から「連想」することができ、全体の把握、記憶に使えるようになります。

実はグループ化、関係を記録する一般的なやり方は、ある程度体系化されています。その方法はマインド・マップと呼ばれており、様々なビジネス本で詳細な内容を見ることができます。

マインドマップの詳細な方法についてはブログには書ききれないので、ここでは読んでもっとも理解できた本の紹介のみにしておきます。

図解 フィンランド・メソッド入門

マインドマップの本はいくつか出ているようですが、細かいルールなどもありなかなか直感的に使うには敷居が高く感じられます。
このような方法は形式的にルールにのっとり使ったとしても実際に役に立っているか感じるまでに時間がかかり、面倒くさくなり途中でやめてしまうことが多いかと思います。その点この本は子供の教育向けに記述されていますので、あまり難しいことなくとりあえず使ってみようという気にさせます。